暗号資産(仮想通貨)取引をするためには公開鍵と秘密鍵が必要になります。
マルチシグとは、マルチシグネチャー(multi signature)の略称で、1つの公開鍵に対して複数の秘密鍵で管理する仕組みのことを言います。ちなみに「multi signature」は日本語で「複数署名」という意味。
暗号資産取引では、公開鍵を使って取引データを暗号化し、秘密鍵を使って暗号化されたデータを解読(復元)することで取引完了となります。公開鍵はその名の通り誰でも閲覧可能ですが、秘密鍵を知っているのは本人だけであり第三者に知られることはないという前提のもとで機密性を保持しているのです。
マルチシグを採用するメリットは、高セキュリティであることが挙げられます。仮に複数ある秘密鍵の内のひとつが漏洩もしくは紛失しても、その他の秘密鍵がなければ取引の承認はできないため、ハッキングや鍵紛失のリスクを弱めることができます。
ただ、複数の鍵を自分で管理しなければならない手間はデメリットであると言えるでしょう。複数の鍵はそれぞれ別の場所で保管しないとマルチシグを利用する意味がなくなってしまいます。例えばスマートフォン、パソコン、タブレットなど各デバイスに分けて管理する必要があります。
1つの公開鍵に対して複数の秘密鍵で管理するマルチシグに対し、1つの公開鍵に対して1つの秘密鍵で管理する「シングルシグ」という仕組みもあります。
シングルシグは秘密鍵を1つだけ管理するので利便性が高いメリットがある一方、セキュリティ的にはハッキング等のリスクが高まる点がデメリットです。
・1つの公開鍵に対して複数の秘密鍵で管理する仕組みのこと
・メリットはハッキングや鍵紛失のリスクを弱めることができる点
・デメリットは管理が手間になる点