スケーラビリティとは、取引を記録するブロックチェーンの各ブロックサイズの拡張性の度合いのこと。
そして、スケーラビリティ問題とは、一つのブロックに記録できる取引データに上限があることによって引き起る問題を指します。取引データがブロックサイズの上限に達すると、処理速度に遅延が生じたり、手数料が高く設定された取引が優先されることから手数料高騰といった問題が発生します。
解決策としては、ブロックサイズの拡大、ブロック生成の時間短縮、ブロックチェーンの外で取引を行う、ブロックに記録する取引データの縮小等が挙げられます。
ブロックサイズの拡大は一番シンプルな方法のように思えますが、ブロックが拡大するとマシンの負荷が増え、マイニング(採掘)を行うマイナー(採掘者)に金銭的な負担がかかることになります。これにより小規模なマイニングを行っているマイナーは採掘量が減り、大規模なマイニングを行っているマイナーによる寡占化が懸念されるのです。
ブロック生成の時間短縮は、たしかにこれが実現すればスケーラビリティ問題の解決に繋がるものの、ブロックチェーンの分岐が発生しやすくなることで二重支払などのトラブル発生が懸念されます。
ブロックチェーンの外で取引を行う場合、ライトニングネットワークやサイドチェーンといった方法をすでに採用している暗号資産(仮想通貨)がありますが、こちらはセキュリティ面で懸念があり、積極的な採用には課題が残っています。
最後に挙げる「ブロックに記録する取引データの縮小」が現状では最もスケーラビリティ問題の解決に繋がる手法と言えるようです。暗号資産の仕様変更(ソフトフォーク)によって取引データの縮小を図る手法で、既存のブロックチェーンを分岐させる必要がありますが、分岐した新たなチェーンは既存のチェーンと互換性があり、やがて一本化するため新たな通貨を生成するわけではありません。Segwitというデータ圧縮技術を用いたこの手法では、セキュリティ面で比較的安心することができ、マイナーの負担も変わらないため期待されているのです。
●ブロックチェーンの各ブロックに記録できる取引データに上限があることによって引き起る問題
●処理速度の遅延、手数料高騰の可能性
●「ブロックに記録する取引データの縮小」が現状では最もスケーラビリティ問題の解決に繋がる手法